元彼は単体だと普通だったのに先輩がからむと変になるというか、人が変わった。
その先輩とは何度か会わせてもらった……というか会わされた。
会う前に「めちゃイケメンだから！好きにならないでよ！」とか「超頼りになるナイスガイ」と言われていたので
どんな人だろうと期待してたら、来たのはイケメンでも何でもない冴えない感じの人だった。
挨拶しても「あっ……」みたいな声を発しただけですぐそっぽ向くし、
最初から最後までいないもののように扱われた。
でも元彼はその人の言うことなら何でも子犬のようにキラキラした目で聞き、激しくうなずき
「さすが先輩！」という合の手も忘れず、言いかたは悪いけど信者みたいだった。
ちなみに話の内容は、先輩の武勇伝というか、なろう小説（現物読んだことないけどネット情報で飛び交ってるのを呼んだ印象です）
みたいな内容だった。
「俺はなんの気なしにやったことなんだけど、みんなに感心されちゃって参ったな。
俺からしたら普通なんですけど？俺またなにかやっちゃいました？いや人気者はつれーわー」
みたいな内容を三十分以上に引き延ばしたような話。しかもこれを細部のパターンだけ変えて何度も話す。
ドン引いたので「次はもういいわ」と言ったのに
結局別れるまでにもう二回会わされた。
二回目はＵＦＯ見た話してた。元彼はやっぱり「先輩すげーっす！！」って目を輝かせてた。
三回目は覚えてない。鼓膜が聞くのを拒んでたのかもしれない。
別れを決心したのは元彼が先輩そっくりの髪型にしたから。
それまでは普通だったのに変な角刈りみたいな髪になって、しかも理由が
「（私）ちゃんが先輩に惹かれているのがわかったから、先輩に少しでも近づこうと思って……」
惹かれてねーわ！と何度言っても信じなかったし
話の流れで先輩にお金貸してることも判明したし
一気に冷めて別れた。

それから五年以上経ったんだけど、その先輩の話を全然違う人から聞いた。
内容がほぼ私の体験と一緒で「もしかしてそれ****って人じゃない？」と言ったら
「そう！！」と驚かれて、お互い衝撃だった。
女から見たらさっぱり魅力のわからない変な先輩だったけど、男から見たら魅力的なんだろうか。
心酔してたのが元彼だけじゃなかったことが衝撃でした。