二年生の時、授業の中で進路希望調査表を書いた。
希望の高校名を書き込んで回収を待っていると、突然前の席に座っていた女子生徒Kさんが振り返り「Mさんはどこにした？」と聞いてきた。
Kさんはバレー部の女子。わかる人にはわかると思うけど、女バレって中学の中ではスクールカースト高位置にいる。
それにKさん本人に対して嫌なイメージは無かったけどKさんがいるグループはDQNのグループだし、眉毛整えるとか指定外の靴下履くとか前髪が眉にかかっても切らない、髪が肩についても縛らない程度の校則違反はしまくっている女子だった。
小学校も別だったので一度も話したことないDQNグループの女子に突然話しかけられ、恐いけど無視なんて出来ないし、そんなとこ行くのー？wとか馬鹿にされるのかな……と思いつつ「●●高校……」と伝えると、Kさんは「あーあそこ制服可愛いよね！」とニコニコ笑うのでびっくりした。

他にも、放課後部活に向かおうと階段を降りている時にKさんが下から上ってきて、すれ違った後に「Mさんこれから部活？吹奏楽部だっけ、がんばってね！」と手を振ってくれたこともあって、その時も驚いた。
Kさんと喋ったのはそのたった二回。
単純だけど、毎日不特定多数からバイ菌扱いかスルーをされてツラかった私は、それだけでKさんていい人なんだなぁと漠然とした好意を抱いていた。

三年生になった頃、私は何年も続いたイジメで心を病んでしまい、教室にいるだけでとてつもない恐怖心に襲われるようになったので、教室に通えない生徒が自習して過ごす相談室という教室に登校するようになった為、Kさんとも顔すら合わせないようになっていた。
そんなある日、同じく相談室登校をしている生徒の一人が「ねぇ知ってる？なんかKヤバイらしいよ。」と言い出した。
なんでも、実はKさんはDQNグループの中で「グループからハブられたくないなら言うこと聞け」とあれこれ都合よく使われる存在だったらしい。
そんな扱いだったので、ある日グループ内の男女数人が万引きをして捕まった時、全員が「Kがやれと指図した」と主張したので、Kさんは万引きの主犯格に仕立て上げられたらしい。
Kさんが反論したのか、ハブが嫌で受け入れてしまったのか、反論したとしても信じてもらえたのかもらえなかったのかは又聞きの又聞きのような噂話ではわからなかった。
そして私は相談室登校のまま中学を卒業してしまったし、進学先も違ったのでKさんのことはわからずじまいだった。

同窓会とかもないから一度も会ってないし、共通の友人さえいないから連絡先も知らないし、そもそもKさんと私の仲なんてたった二回会話した事があるだけだから、Kさんは私のことを覚えてもないかもしれない。
でも私は中学卒業から十年以上経った今でもふっとKさんのことを思い出すし、その度に今はどうしているんだろう、あの時のことでツラい思いはしていないだろうかと考える。
それくらい、Kさんがイジメるでもなく「可哀想ないじめられっこに話しかけて上げよう」みたいな感じでもなく、ただ普通に話しかけてくれたことが当時の私には嬉しかった。
あの噂自体本当だったのかも今じゃわからないけど、今のKさんが幸せに生きていてくれたらいいなぁと願って止まない。

>>175
完全に気休めか無駄な情報だけど、kさんの名前で検索とかしてみてはどうか。
…いや、それで知らない方が良かったようなこと知ってしまうリスクもあるか。